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本を読む女―磯谷友紀「本屋の森のあかり」、西炯子「姉の結婚」

【今日の言葉】

あかんわ...
聞いてへん...
全然聞いてへん...
(島本和彦「アオイホノオ 8」)

【読書日記】

こんばんは。ともです。
今日の読書は、最新刊がでた磯谷友紀「本屋の森のあかり」と、西炯子「姉の結婚」です。

■女子マンガ

「女子会」とかいう言葉をよく耳にするようになった頃から、何故か、女性マンガ家の活躍がすごいなと感心しているのですが、一方、男性マンガ家では、島本和彦「アオイホノオ」の暑苦しさが、「そんな話は全然聞いてない」とでも言わんばかりに、無駄に孤軍奮闘しているような印象でしょうか。

男性漫画家が描く「男性マンガ」の暑苦しさに対して、「女性マンガ家が描く、男子主人公のマンガ」を仮に「男子マンガ」と呼んでみることにすると、小玉ユキ「坂道のアポロン」や羽海野チカ「3月のライオン」のなど、最近では、錚々たる「男子マンガ」の作品が、本屋の店頭に並んでいます。

一方、女性マンガ家が描く女子主人公のマンガ、「女子マンガ」で言えば、「にこたま」の渡辺ペコや「午前3時」シリーズのねむようこなど、ガ―リーで、ストーリーテリングに優れた作家が多い印象です。

■本を読む女

その中でも、磯谷友紀「本屋の森のあかり」と、西炯子「姉の結婚」は、「本を読む女子」をヒロインとしていることで、異色です。

「本屋の森のあかり」のヒロイン高野あかりは、全国展開している大手書店の書店員。「姉の結婚」のヒロイン岩谷よりは、東京から地元に戻った中崎県立図書館の司書。という設定ですから、必然的に、作品中で、本を読む場面も多く出てきます。

このヒロイン達が、「本好き女子」と言い切っていいのかは、それぞれ年間の読書冊数が、作中で示されている訳でもありませんので、読む人が、どこからを「本好き」と呼ぶかという定義によっても変わってくるのでしょうが、その他の女子マンガでは、女子が読書をしている場面をそう見かけることはありませんので、一般女子よりは、よく本を読んでいる方だ、とは言えそうです。

■読書女子の恋愛とキャリア

とはいえ、このふたつの作品はテイストが全然違います。
おそらく、読者層も、全く違うのではないでしょうか。

「本屋の森のあかり」は、「わたしもうすぐ30なのに」というアラサー女子の純愛を描いているのに対し、「姉の結婚」は、「気がつけば40手前」というアラフォー女子の不倫を描いています。女子は、自己規定をするのに、どうも年齢を気にするところが、男子とは違います。年齢によって、恋愛の形が違ってくるかのようです。

また「本屋の森のあかり」のヒロインは、キャリアアップを目指して転職活動をしているのに対して、「姉の結婚」のヒロインは、東京で築いたキャリアを捨てつつも、大手出版社から書評を依頼される程度の成功を収めている女子として描かれています。

同じ読書女子を描いていても、このように年齢による、恋愛とキャリアの違いが、二つの作品では、示し合わせたわけでもないのに描き分けられています。もしかしたら、「働きマン」(安野モヨコ)が増えている社会的現実を、図らずも反映しているのかもしれません。

■アラフォー男子としては...

で、ふたつの作品のどちらからも想定外の読者であろうアラフォー男子である僕が、何故、最新刊が出るのを待ち望んで読んでいるかというと、単純に面白いからです。

「本屋の森のあかり」は、作中で紹介される本と、ストーリーが重なってくるところが、とても興味深いと思います。最新刊の11巻では、夏目漱石「三四郎」が、重要なキーになっています。

「迷える子」(ストレイ・シープ)の作中における意味を理解したヒロインは、それを、自分の今いる場所で、自らに照らし合わせて「気づいた」とき、大きく、一歩を踏み出します。

読書していると、望んでいたわけではないのに、ふと、1冊の本が、進むべき道を指し示す瞬間が、訪れることがあります。「本屋の森のあかり」では、そのリアリティが描かれていると思います。

また「姉の結婚」は、熟れ落ちる寸前の女子の複雑な心理を丁寧に描いているところがすごいです。アラフォー独女の毒と華。それを生々しく、リアルに描いているのが、とても感心します。あと、登場人物から繰り出される数々の暴言。西炯子は人間観察がするどいですね。

そういえば、息子がこの前読んでた本の表紙が西炯子(はやみねかおる「都会のトム&ソーヤ」)で、あれは、心臓によくない瞬間でした。

■ところで...

えっ、「そんなこと言ってる僕の妻」ですか?

図書館勤務ですけど 何か?

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